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RMEで愉しむ極楽オーディオ生活【連載2回目】

掲載日:2016/07/04
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本来は録音機器であるRME製品ですが、その再生音の良さに魅せられて先進的なオーディオ愛好家がRME製品を使い始めたのは2007年頃のことです。私も含めたごく一般的なオーディオ愛好家にとって、RME製品との出会いはPCやMac、近年ではiPadなどと組み合わせての「音楽再生用機器」としてだと思います。つまり、オーディオ愛好家たちの多くはFirefaceやBabyfaceを、今風に言えば「USB DAC」だと考えているのだと思います。

私もPCやMacを使った音楽再生装置として2007年春からFireface400と付き合い始めたわけですが、「アナログレコードを録音してデジタルデータ化したい」と考えて色々試したり、Vol.1でも書いたように「マルチch再生」や「マルチch再生時にセンターchとサブウーファーchをフロントLchとRchにダウンミックスする装置」としてもFirefaceを使い始めました。

また、ここ数年は、ヘッドフォン・イヤフォンがブームで、私は「ヘッドフォンブック」(音楽出版社)や「ヘッドフォン王国」(ステレオサウンド社)などのムックに試聴記事を書いているのですが、そんな時にもFirefaceが大いに役立ちます。仕事なので色々なメーカー製のヘッドフォンアンプがやってくるのですが、そこそこの値段の専用のヘッドフォンアンプと比較してもFirefaceがいい勝負をするのです。ですから私の中には、Firefaceの音を大幅に超えないものはヘッドフォンアンプとして認めないという基準ができてしまいました。

DSPチップを搭載している機種なら、TotalMixFXでヘッドフォンの出力に3バンドのパラメトリック・イコライザーが使えるので、鳴りにくいタイプのヘッドフォン・イヤフォンにも強く、しかも設定を何通りも保存できるので、ヘッドフォンアンプとしても存在意義を発揮することになりました。そんな点でも、DSDに対応しヘッドフォンアンプがより充実していると伝えられている新製品「ADI-2 Pro」の到着を心待ちにしています。このように、使えば使うほど関係が深まることになり、この数年間で私にとってFirefaceやBabyfaceは音楽生活のあらゆる場面で必需品になりました。

ADI-2 Pro  

RME製品に共通する基本的な音質とは?

RME製品に共通する基本的な音質は、骨格のしっかりした端正な美しさが特徴です。クラシックの作曲家で言えばベートーヴェン的とも言えるサウンドです。だから時に「音が硬い」と感じる人もいるようです。RMEの音は軟弱な音ではありませんから、どうやらこのあたりは使い手の力量が問われるようです。私自身も経験しているのですが、オーディオ装置が置いてある部屋そのものの音を整えるにしたがって、硬い音だとは感じなくなる、そんな体験をしてきています。

オーディオというのは部屋でスピーカーを鳴らす遊びですから、主役はもちろんオーナー、そして部屋とスピーカーです。基本的にはその三つがうまくかみ合って機能していれば、アンプやプレーヤーは十分に能力を発揮してくれます。機器のせいにするのは簡単ですが、もしRME製品の音が「硬いきつい」と感じるなら、部屋の響きを見直してみることをおすすめします。そんな指標になるサウンドです。

ただ、FirefaceやBabyfaceはプロ用の録音機器ですから、一般的なオーディオ機器と少し異なる面があり、慣れが必要だったり頭を切り換える必要があるのも事実です。RME製品を導入した際に、普通にオーディオをやってきた人が感じる「流儀の違い的なポイント」を、FirefaceUCXを例に考えてみましょう。理解すべきことは大きく分けると二つに分類され、一つはハード面(機器そのもの)であり、もう一つはソフト面(TotalMix)だと思います。

まずハード面では以下の3点が考えられます。

 

① 端子が一般的なRCAと違う

Firefaceの端子はモノラルのフォン端子なので、「フォン-RCA」になっているケーブルを使うか、フォン-RCAの変換プラグを使う必要があります。もしFirefaceシリーズを導入するのなら、変換プラグを用意するのがおすすめです。私は、古いマークレビンソン社の端子がレモだったり、CELLO社の端子がフィッシャーだったりすることを考えれば、フォン端子の方が一般的だし、手にも入りやすいと考えています。ちなみにBabyface Proの入出力端子はXLR。UCXの入出力端子は、TRS(標準プラグ)となります。

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trs_ucx    

 

 

② 入出力端子に右左がなく番号がふってある

テープデッキやUSB DACなら端子のLやRが決まっていますが、Firefaceにはそのような指定がないので、最初は「どことどこを接続するのかわからない」と思ってしまいます。たとえば背面の出力端子(BALANCED LINE OUTPUTS)は1から6までありますが、デフォルトでは「LR」(1・2)「LR」(3・4)「LR」(5・6)という順番で設定されています。つまり奇数の端子がLchで偶数の端子がRchなので、とりあえず最初の状態では「LR」(1・2)「LR」(3・4)「LR」(5・6)だと覚えてもらって良いと思います。

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これを逆に設定することも可能ですし、全部Rchに、あるいは全部Lchにもできるし、各チャンネルにLの音とRの音を混ぜて出力することも可能です。その設定は「TotalMix」で行うわけですが、ここではそんなこともできるということを理解しておきましょう。

 

③ 入ってきた音を全部同時に出力する

FirefaceやBabyfaceはミキサーの機能をもっています。PCやMacからやってくるデジタル信号も、CDトランスポートからのSPDIF信号も、マイクやフォノイコライザーからのアナログ信号も、全部同時に出力します。私の知る限り、この機能をもったピュアオーディオの機器はCELLO社の「スィート=SUITE」というフルモジュールにすると数百万円もした超高級プリアンプだけです。

 

一般のオーディオ機器は、プリアンプにしてもUSB DACにしても、セレクターが付いていて、どの音を出力するかを選ぶ方式ですが、FirefaceもBabyfaceも基本的に入ってきた信号を全部出力します。 この点を理解し、上手に使うと自動セレクター的に使えます。私の場合、FMチューナーの音はFireface経由で音を出していますが、FMチューナーのスイッチをオンにしたままMacのAudirvanaPlusやiTunesで再生するとスピーカーからは両方の音が混ざって出るので、音を出したくない方はスイッチを切るか再生を停止させます。この使い方はプリアンプの入力が足らない時などにとても便利です。

CELLO社 「スィート」

真ん中にある巨大なCELLO社の「スィート」はプリアンプとして売られましたが、マーク・レビンソン氏はミキサーとして使っていたのだろうと推察します。

次にソフト面のお話しをしたいとおもいます。

FirefaceやBabyfaceのドライバーをインストールし、デバイスをPCに接続すると自動的に起動するソフトがあります。 ひとつはFireface Settingと言って、炎のようなアイコンのアプリケーションです。 そして、もうひとつはが、こちらも自動的に起動してくるのですが、ミキサーのような画面をした「TotalMix FX」です。 TotalMix FXはFirefaceやBabyfaceの動作をつかさどるアプリケーションです。アプリケーションですから、iTunesやPhotoshopなどと同じです。ですが、録音スタジオにあるプロ用のミキサー風の画面なので私たち素人はこれを見ると正直ビビります。それはつまり「下手にいじると取り返しのつかないことになるのではないか」という不安、あるいは「正しく使えているかどうか自信がない」というものだろうと思います。TotalMixはいろいろなことができるので、理解をするには実際に音を出しながら説明を受けるのが一番の早道ですが、ここではもっとも基本的なことのみを書きたいと思います。

 

TotalMixの画面は上中下の三段です

TotalMixの画面は三段で、一番下が出力で中段はPCからの入力、上段はアナログとSPDIFの入力画面です。つまり、上の二段は入ってくる信号で、一番下は送り出す信号が表示されています。たとえば、PCのiTunesで再生をしても音が出ないというような場合、TotalMixの画面(中段)に信号が入ってきていれば、Firefaceまでは信号がきているので、原因はそれ以降にあるという判断がつきます。Firefaceに信号がきていなければ、PCやMac側の設定を確認する必要があるわけで、この判断がつくことだけでもTotalMixの存在は心強いものです。

 

下段の出力のスライダー近辺をクリックすると画面が切り替わる

TotalMixの操作において一番重要で最もわかりにくく、理解してしまえばとても簡単で納得できること…それが、「下段の出力のスライダー(フェーダー)近辺をクリックすると、画面上の上段と中段のフェーダー情報が切り替わる」という事実です。

言葉を聞いただけでは、少し解りにくいかもしれませんので、具体的な説明をしたいとおもいます。

TotalMixは物理的なミキサー卓の外観を模しているため、とても機械的なルックスですが、アプリケーション、つまりソフトウェアですから操作によって全体の表示が変化します。考え方としては、表計算ソフトウェアのExcel(エクセル)の表示が、何層かのシート構造になっていて、画面の下の方にあるタブをクリックすることでシートが入れ替わるのとまったく同じです。 TotalMix上にて、Excelのタブに相当するのは、下段の各出力部分(Hardware Output)です。

TotalMix

上図のように、画面下段のHardware Output(Control Roomも含む)のチャンネルをクリックすると、上段と下段のチャンネルが、その出力チャンネルの設定に切り替わります。 例えば、メインのスピーカーがAN1/2、つまりControl RoomのMainチャンネルにつながっており、フォノイコがHardware InputのAN1/2につながっており、メインのスピーカーからフォノイコの音を聞きたい場合は、Control RoomのMainチャンネルを一度クリックし選択し、その状態で、上段(Hardware Input)のAN1/2のフェーダーを頃合のよいところまで上げるという作業となります。 この一連の作業をTotalMix では「SubMixを作る」と呼んでいて、この部分さえ理解してしまえば、TotalMixは大変使いやすく柔軟なミキサーになります。実際、音楽を再生するだけなら、一度理解してしまえばTotalMixの操作はそれほど難しいものではありません。TotalMixはiTunesと同じアプリケーションだと書きましたが、近頃のiTunesはどんどん複雑化しており、随分と操作が難しくなってきているので、操作における大きな変化のないTotalMixよりiTunesの方がよほど難しいなどと思ってしまいます。

こうして考えて見ると、たとえばスマートフォンが「電話+カメラ+計算機+目覚まし時計+ゲーム機+メモ帳・・・・」なのと同じように、FirefaceやBabyfaceはアナログ時代の機器で考えると「複数のテープレコーダー+ミキサー+USBDAC+ヘッドフォンアンプ」などがあの小さな箱の中に入っていることになります。

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RMEの魅力とは

RME製品は非常に興味深い面を持っています。一般に値段が10万円のものと30万円の機器があれば、値段の高いものの方が圧倒的に高音質で当然ですが、RMEの製品に関してはその図式があてはまらないのです。もちろん比較すればそれぞれ固有の音はあって違うのですが、非常に小さな違いです。音楽を好きな人が「いい音だと感じる範囲」があるとすれば、RME製品は値段や大きさに関係なくどれもが「いい音」の範囲内に入っていると感じます。つまり、「違いはあっても差は少ない」のですが、大変興味深いことに、これが古い機種にも当てはまるのです。日進月歩のデジタル機器にあって、10年以上現役で使われているRME製品は珍しくないという事実、そして故障が少ないことにいつも驚きを感じます。 よりよく理解して、とことん毎日使って音楽生活を楽しんでいただければと思います。


  koji yamamoto

山本耕司

1952年ロイ・ヘインズと吉永小百合が生まれた日が誕生日 魚座 O型
20代は東京都公認の手話通訳者
TYスタジオを経て、30代~40代はフリーカメラマン
1996年夏 「鉄腕たち」 キヤノンサロン 銀座 大阪 福岡
「眠れない夜」 銀座ギャラリー惣 同時開催
1997年 「茶の間にアート」で写真新世紀展 優秀賞
StudioK’sを設立
50代は写真・音楽・料理・オーディオ
60代はさらに百人一首が加わり目標は伊達男

著書
「マイオーディオルーム」音楽出版社
「マイオーディオライフ」音楽出版社

「RMEで愉しむ 極楽オーディオ生活 Vol.3」を読む

「RMEで愉しむ 極楽オーディオ生活 Vol.1」を読む