これだけある!ケーブル接続端子の種類(1)
掲載日:2012/07/10バランスとアンバランス
機器の仕様表などを見ると、「バランス」「アンバランス」という記載があります。これは接続ケーブルの仕様を示しているもので、一般的なオーディオ用途では「アンバランス」が使用されることが多いようです。
このアンバランスとは、ケーブルが信号線とアース線の2系統で形成されていることを表しています。これに対して、バランスでは信号線がプラス(+)とマイナス(-)の2種類あり、これにアース線を加えた3系統で接続されます。
バランス接続のプラスが通常の信号で、マイナスはこの逆波形の信号が送られます。入力側の機器でこのマイナス信号をさらに逆転させ、プラスの信号と加算することで2倍の強度の信号を得られるというもので、主に業務用音響機器など微弱な信号で長い距離を伝送する場合に使われます。バランス接続にすることで外来ノイズに対して強くなるため、オーディオ機器でもこのバランス接続を利用している物が実在します。
では、このバランスとアンバランスで相互接続はできるのでしょうか? 結論から申し上げると、できるのですが機器によって対処の仕方が異なるので注意が必要です。
アンバランス出力からバランス入力へ接続
バランス接続に必要なマイナス線が存在しないため、入力側の機器で信号の大きさが半分になって解釈されることになります。オーディオ信号のアナログ接続の場合、音量が半分になるということです。バランス入力の機器によっては、アンバランスで入力された時にも対応できるように自動、もしくは手動で信号を2倍(+6dB)にする機能を搭載しているものがあります。
バランス出力からアンバランス入力へ接続
この場合はプラス線のみを使用するため一見問題が無いように思えますが、使われていないマイナス線の扱いに注意する必要があります。ケーブルや変換アダプターによってこのマイナス線をアース線に接続しているものと、マイナス線は非接続で浮いたままの状態にしてあるものの両方があります。機器によってこのマイナス線の接続の有無を誤るとノイズの原因となることがあるため、このようにバランスとアンバランスを変換して接続する場合は、機器のマニュアル等で仕様について必ず確認しておきましょう。
「-10dBV」「+4dBu」は規格?
オーディオ入出力の仕様として「-10dBV」や「+4dBu」という記述を見掛けることがあります。これを規格と勘違いされているケースがあるのですが、これらの表記は業界で目安として使用されているもので、規格として策定されたものではありません。
同様に、一般オーディオ機器では「アンバランス」「-10dBV」、業務用機器では「バランス」「+4dBu」が使用されることが多いことから、「アンバランス=-10dBV」と誤解されている例も散見されます。
RME製品でも、この「-10dBV」「+4dBu」という表記が設定項目の中で使用されていますが、実際の入出力レベル(感度)は機器によって異なります。
この機器間のオーディオ入出力の信号強度の設計は、「最大出力レベル」と「最大入力レベル」という仕様で確認することができます。実際のところ、出力側の機器で音量ボリュームの調整ができれば問題が起こることはほとんどありません。アナログの録音デッキやプレーヤー等、出力にボリューム調整が無いものの場合は、入力側の機器で受けることができる信号レベルであるかどうかのチェックが必要です。
繰り返しとなりますが、仕様表などでの「-10dBV」という表記は信号強度を厳密に定めたものではないため、参考にはなりますが機器同士のマッチングを必ずしも保証するものではありませんので記憶に留めておきましょう。